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■『ウルフマン』■(映画) 


ウルフマン
ウルフマンつったって、大月ウルフは出ていません。

ってなくすぐりは要らんのですけど(笑)、とにかく今年のGWは「月刊スターログ」世代にとっては、甘酸っぱい気分にさせる名前が並んでおります。
先に紹介した『タイタンの戦い』におけるレイ・ハリーハウゼン然り、この『ウルフマン』のリック・ベイカー然り。

狼男に類人猿ひと筋のリック・ベイカーいまだ健在!
と知らしめた本作は、最新のCGとハンドメイドなベイカーのメーキャップを伴いながら、思いのほかオーソドックスでゴシックなホラー映画の秀作に仕上がっておりました。
とりわけ、人間から狼男への変身に革命を起こしたベイカー御大のメーキャップも、かつての『狼男アメリカン』(81)よりも、どちからといえば往年のユニヴァーサル製ホラー映画を髣髴とさせるのは、御大自身の原典回帰なんでしょうか。

そもそも演じる、ベネチオ・デル・トロ自身の素顔が、失礼承知で書くならばどちらかといえば獣人顔をしてらっしゃるので、狼男に変貌してもちょいとヒゲが伸びました、くらいの印象でしかなかったりするのであります。
それよりも、ジプシーのおばば役でちょこっと登場する、ジェラルディン・チャップリンの様相のほうが、よほど恐ろしゅうございましたですよ。

ウルフマン2
さてさて、『タイタンの戦い』の名前を出しましたが、本作も同じくリメイク映画。
先に往年のユニヴァーサル製ホラー映画と書きましたが、まさにそのなかの1本でオリジナルは41年製作。
とはいえ、僕も昔に観たと思うんですけど、細かいことは覚えていないし、ああ、あの映画か、と思ったのは英ハマープロの『吸血狼男』(60)でございました。

なので、今回のリメイク版との相違について書く術はないのですけど、主人公とその父親(アンソニー・ホプキンスが好演)との関わりであったり、主人公の幼児期のトラウマ、そして、主人公の兄の婚約者(エミリー・ブラント)とのロマンスなど、ドラマ部分もしっかりしていてある種の風格さえ感じさせます。


ジョー・ジョンストンが監督したというのが、これまでのフィルモグラフィーから考えるとホラー、というのはちょっと意外でありまして、劇中にはいろんなものが飛ぶというけっこうゴアな場面も数多いんですけど、なんというかグロテスクさは僕自身はあまり感じませんでした。

ジョー・ジョンストンが監督しているから、という先入観がそう感じさせたんでしょうかね。

ウルフマン4
音楽を担当したのは、ここのところ多忙なダニー・エルフマン。

奇しくも、音楽についても同時期公開の『タイタンの戦い』同様、スコア担当は紆余曲折がありまして。
当初、ダニー・エルフマンが作曲を進めていたにも関わらず、試写の段階で不評だったために急遽ポール・ハスリンガー(『アンダーワールド』(03))に交代。しかし、土壇場になってまた元のダニー・エルフマンが再起用されたという、なんだかよくわかんないバックステージになっております。
そもそも、『アンダーワールド』のスコアって地味だったので、なぜエルフマンから彼に交代になったのか理解できなかったんですけど、多分、今回も地味だったんでしょうね。

で、元の鞘に落ち着いたエルフマンのスコア、メインテーマのメロディを聴いてビックリ!!

かつて、ヴォイチェフ・キラールが書いた『ドラキュラ』(92)にソックリなんですよね。
その理由については、竹之内円氏によるサントラのライナーにて、エルフマンが本作のスコアを書くのにキラールの『ドラキュラ』を参考にしたとありました。なるほどね。
もっとも、エルフマンは盟友ティム・バートンの『アリス・イン・ワンダーランド』と掛け持ち状態だったので、悪く言えば片手間になったのも無理もない話だったりするのですけど。

とはいえ、エルフマンのスコアも決して出来が悪いわけじゃないし、余裕があればもっといい仕上がりになっていたことを考えれば、勿体ない話ですよこれは。
だったら、はなっから無理矢理エルフマンでなくても、ジョンストン監督が過去の作品で組んだ、ジェームズ・ホーナージェームズ・ニュートン・ハワードでも良かったんじゃないかって思うんですけどねぇ。

(MOVIX橿原にて鑑賞)

【採点:100点中70点】


※本作のオリジナル版。
機会があればこちらも観てみたいものです。



※リック・ベイカーの職人技が光る、狼男映画の傑作。
ブルーレイで♪ブ~ルム~~~ン♪ってのも、おつなものですな。



※こちらはDVD。
この映画、たしか当初は『ブルームーン殺人事件』って邦題になる予定だったんですよね。



※レビューでも触れました、ダニー・エルフマンによる本作のサントラ。





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